〜年頭のごあいさつ〜 山都町包括医療センター そよう病院 院長 水本 誠一
新年明けましておめでとうございます。皆様には健やかな新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は例年にもまして地球規模で自然災害に見舞われた一年でした。今年こそは穏やかな一年になることを願ってやみません。
さてこのお正月は私にとって山都町で迎える 6回目のお正月でした。病院は常に医者の誰かが常駐しておかねばならず、年初めには院長の私が率先して年越しの日直・当直を行うようにしています。今年の年末年始は珍しく暖かく穏やかな天気でしたが、小児の熱発やお年寄りの肺炎などの患者さんが多く、毎日約30人の方が急患でこられました。山都町では例年お正月を過ぎると都会からさまざまな病原体が持ち込まれ、インフルエンザなどの感染症が流行してきます。少しでも流行が広がらないよう配慮しながら診療に当たる所存です。
おかげさまで昨年11月には新病院が完成から一周年を迎えることができました。皆様のご期待に十分こたえられるような医療が提供できたか自信はありませんが、「病院らしくない病院、病める人も健康な人も集える病院」との考え方のもと、保健(健康づくり)、福祉(介護)サービスまでを総合的・一体的に提供する「地域包括医療・ケアシステム」の拠点としての活動が少しは展開できたのではないかと考えております。しかしまだまだ不十分な面もあるかと思いますので、住民の皆様方のご指導・ご指摘を今後ともいただければと考えますのでよろしくお願いいたします。
今年の病院の行動目標として、「One for all, All for one (訳:一人はみんなのために、みんなは一人のために)」を掲げました。実力を持って自立した一人ひとりが協力し合って組織を運営し、職員個々人どうしも尊重しあい、組織一丸となって患者さんを治療してゆく、といった意味です。また公務員として地域住民とともに山都町を住みよい郷土にしてゆこうという覚悟も表現しています。
昨年末に山都町の人口はついに17000人を割り込み、65歳の人口割合がほぼ40%になって、少子高齢化の先進地域となりました。さらに今年はTPPなど、一次産業が主力の山都町には大変厳しい問題も予想されます。もうこうなったら開き直って、「少数精鋭 All Yamato の精神」で、われわれの誇りある郷土を守りぬくしかありません。そよう病院は医療の面から頑張ってゆきますので今年もよろしくお願いいたします。
〜知って得する健康講座 第62集〜 「乳がんの診断について 」
研修医 桑原 麻菜美 医師 竹本 隆博
日本人女性では乳がんにかかる人の数は年々増加しており、特に40歳代から乳がんにかかる危険性が高くなります。そのため、40歳を過ぎたら2年に1回は乳がん検診を受けることが推奨されています。40歳未満であっても、発症リスクが高い女性は同じく2年に1回の検診を受けることが推奨されています。また自覚症状がある人は年齢に関係なく、医療機関を受診してください。
自覚症状としては乳房のしこり、乳頭からの分泌物、乳房の痛みなどがあります。
乳がん検診では乳房撮影(マンモグラフィ)、乳房の視診・触診が行われます。その結果に基づいて、医師が乳がんの疑いありと判断した場合に医療機関へ紹介されます。医療機関では乳房撮影(マンモグラフィ)、乳房の視診・触診に加えて乳房超音波検査が行われます。また必要に応じて乳房CT検査、乳房MRI検査が行われることもあります。最終的な確定診断は細胞診(乳房に細い針を刺して細胞を取り、顕微鏡で見る検査)、組織診(乳房をある程度の大きさで取ってきて、顕微鏡で見る検査)によって行います。
自覚症状がない場合、検診で異常なしといわれた場合でも定期的に自己検診を行うことが勧められます。
●発症リスク
○ 肥満
○ アルコール飲料の摂取
○ 喫煙
○ 家系内に乳がん患者さんがいる
●診療のながれ
●自己検診の方法
○ 鏡に向かい、左右差・変形がないかチェックする。
○ 渦を描くように手を動かして、乳房にしこりがないかチェックする。
○ 仰向けになって外側から内側に向かって指を滑らせ、しこりがないかチェックする。
※閉経前の人は月経終了後1週間くらいの時に、閉経後の人は毎月日にちを決めて行うとよい。